Anki は、ユーザーが標準機能を拡張変更できるアドオン機能を提供しています。ユーザーは AnkiWeb にアドオンを公開でき、Anki を使って簡単にインストールできます。自分で使ってみたアドオンの中から、誰にでも役立つようなアドオンを選んで紹介します。

このアドオンガイドを使う前に

Ankiの共有リソースを使ってみるでは、Anki の共有アドオンの取得、インストール、削除など基本的な説明しています。もし、まだアドオンを使ったことがない方はそちらも参考にしてみてください。

注意: Anki のアドオンは、PC (Desktop) 版でのみ動作します。AnkiMoblie (iOS) や AnkiDroid (Android) では動作しません。

このガイドで紹介するそれぞれのアドオンのタイトルは、AnkiWeb のダウンロードページにリンクしています。

かゆいところに手が届くアドオンたち

小さいけどあると絶対に手放せないニッチなアドオンたち。

かゆいところに手が届くアドオンたち
図 1. かゆいところに手が届くアドオンたち

Bigger Show Answer Button

単に [解答を表示] ボタンが横長になっただけなのですが、非常に便利です。(図 1 の 1)

実のところ自分でつくろうかと思っていたので、同じことを考えている人は世の中にいるんだなと感心しました。

Replay buttons on card

音声ファイルが表示フィールドに含まれていると、再生ボタンを表示してくれます。こちらも地味に便利です。(図 1 の 2)

Audio Playback Speed

音声を再生速度を落として再生し直すショートカットキーを設定します。 [5]: 50%, [6]: 60%, …​ [9]: 90%, [0]: 100% で再生します。

Sound volume control.

音声ファイルの音量制御のショートカットキーを設定します。(Command/Ctrl + +, Command/Ctrl + -)

注:

  • 次に紹介する Zoom とキーの割り当てが重複しています。同時使用すると、正しく動作しない可能性があります。

  • 動画再生のショートカットキーは標準で用意されています。

Zoom

学習画面の文字サイズをキーボードショートカットで拡大縮小できるようになります。(Command/Ctrl + +, Command/Ctrl + -)

注: 入手できなくなった View Size Adjust と同じ機能を持つアドオンです。

学習管理に役立つアドオンたち

学習の進捗管理に役立つアドオンです。

New and max cards

これも地味なアドオンですが、単語帳のオプショングループのうち、新規と復習の学習条件を一望できます。 影響を受ける親単語帳の設定が横に表示される点が便利です。

メニューバーから [ツール] - [New/Max Cards Configuration] を開くと設定ウィンドウが開きます。

New/Max Cards 設定画面
図 2. New/Max Cards 設定画面

load balancer

復習期日のピークをならしてくれます。 復習をさぼってたくさんのカードを抱えた人限定でおすすめです。 統計情報に難易度の予測項目 (Difficulty Forecast) が追加されます。

このアドオンの設定項目は、メニューバーから [Anki] - [環境設定] (または [ツール] - [設定]) を選択し、[load balancer] タブを選択すると呼び出せます。インストールしたら必ず確認しておきましょう。

load balancer
図 3. load balancer 設定画面

Maturing Cards

成熟したカードの枚数の履歴を統計情報の一番最後に表示してくれる。学習の進捗状況を見る一つの指標として使っています。

Maturing Cards
図 4. Maturing Cards

Progress graph

Maturing Cards とは反対にどれだけのカードを学習し始めたのか表示してくれます。 熟知したカードの枚数にどうしても目が行きがちがちですが、安定して新規追加できているか確認することが出来ます。

Progress graph
図 5. Progress graph

Separate Learn and Relearn in the Answer Buttons graph

このアドオンは、統計情報のボタンの選択状況から、新規カードの学習と復習カードの再学習の結果を分離します。

Separate Learn and Relearn in the Answer Buttons graph
図 6. Separate Learn and Relearn in the Answer Buttons graph

教材作成に役立つアドオン

凝った教材をつくる場合や、大量に教材をつくる時に役立つアドオンを紹介します。

AwesomeTTS

Text to Speech機能を追加するアドオンです。MP3データを作成しなくても、文字を読み上げてくれます。MacOS Xの読み上げ機能(say コマンド)、Oxford Dictionary、VoiceText (日本語) に対応しています。事前に読み上げたファイルを保存しておくことも可能です。

さらに指定したノートのフィールドから一括してテキストを読み込んで、音声ファイルを自動生成してフィールドに書き込む機能も含まれています。この機能を使って音声ファイルを同期すれば、アドオンが使えない AnkiMobile でも同じ音声を聴くことができます。

あらかじめ、設定項目をプリセットとして保存しておくと、学習画面の選択範囲を読み上げることもできます。また、プリセットをグループ化すると、複数の音声を自動的に変更しながら読み上げることができます。

選択範囲の読み上げ
図 7. 選択範囲の読み上げ

カードテンプレートを編集してAwesomeTTSを機能させる方法は、Ankiのカード表示を編集するで、音声ファイルの自動生成については画像、音声、動画などメディアファイルを Anki へ一括登録で説明しています。プリセットの使い方については、AwesomeTTS プリセットの活用をご覧下さい。

機能の詳しい内容は、ドキュメントをお読みください。

Download audio

オンライン辞書などで公開している音声データを検索してダウンロードするアドオンです。

このアドオンを動作させるには、ノートに Audio という名前のフィールドを追加するか、ノートタイプ [Standard with audio fields] あるいは [Japanese with audio fields] を指定することが必要です。

Download audio
図 8. Download audio

このアドオンを詳細に設定するための、マニュアルも用意されています。

Media Import

指定したフォルダの中にあるメディアファイルからノートを書き起こしてくれるアドオン。 大量のメディアデータから教材を作成する時に非常に役立ちます。

Media Import の処理完了
図 9. Media Import の処理完了

このアドオン Media Import の簡単な利用例を画像、音声、動画などメディアファイルを Anki へ一括登録で紹介しています。

Image Occlusion Enhanced

暗記ペンを Anki 上で実現するアドオン。 地図、解剖図、反応回路図など図表の一部をマスクして出題できます。

このアドオンは、Image Occlusion の開発者から保守引き継いだ方による機能拡張版です。

詳しい設定はドキュメントあるいはチュートリアル動画をお読みください。

Power format pack

ノートエディタで指定できる書式を強化するアドオンです。 ツールバーボタンから表やリスト、コードブロック、取り消し線、罫線などが利用できます。Markdown を使ったノートの書式設定も可能です。

ツールバーボタンの表示は、メニューバー [ツール] - [Supplementary buttons add-on (options)] - [Button options] から設定できます。

Power format pack を使った表組の指定
図 10. Power format pack を使った表組の指定

教材管理に役立つアドオン

登録ノートの件数が増えてくると威力を発揮するアドオンたちです。

Export Browser’s card list contents to CSV file Enhanced

ブラウザー上で選択した内容をCSV形式で書き出してくれます。 標準の書き出し機能より、条件を絞ってデータを書き出すことができる点が重宝します。

呼び出す手順は次の通りです。

  1. ブラウザー上で検索条件を設定し、出力したいカードを選択する。

  2. [編集] - [Export Selected to CSV] を選択する。

Export Browser's card list contents to CSV file Enhanced の呼び出し方
図 11. Export Browser’s card list contents to CSV file Enhanced の呼び出し方

注: 入手できなくなった Export Browser’s card list contents to CSV file を別の作者が問題修正したものです。

Advanced Browser

フィールドやタグの内容、平均解答時間など標準では表示できない項目が、カードブラウザー内に表示できるようになります。 カード枚数が増えて、定型的な作業が増えてくると威力を発揮します。 Anki の標準機能に盛り込んでもおかしくない機能を提供してくれます。 (注: 検索条件を保存する機能は、Anki 2.0.27 で本体の機能として採用されました。)

Advanced Browser
図 12. Advanced Browser Back フィールドをブラウザー内に表示

Hierarchical Tags

ブラウザー内でタグを階層化表示できるようになります。ノートの分類にタグを多用している場合、ブラウザー画面が見やすく整理できます。 階層の指定には、コロンを重ねます。

階層化したタグの記述法
life::植物::花
Hierarchical Tags
図 13. サイドバー内のタグを階層化表示

Advanced Previewer

ブラウザのカードプレビュー機能を強化するアドオンです。カードの両面を同時に表示したり、カードブラウザで選択した複数のカードを一度にプレビューすることができます。

Advanced Previewer
図 14. 複数のカードの両面をプレビュー表示

番外: AnkiWeb と連携するウェブブラウザの機能拡張

Anki のアドオンではありませんが、Anki と連携して機能強化するウェブブラウザの機能拡張を紹介しましょう。

ウェブブラウザの表示内容から AnkiWeb に直接書き込んで単語帳を作成できるようになります。 同時にオンライン辞書などのオンラインリソースから訳語を調べる機能を持っています。

オンラインの文書を読んで、語彙を拾って単語帳を作っている方に役立ちます。

AnkiFox (FireFox)

FireFox 用のアドオンで、画面上で選択した文字列から AnkiWeb の単語帳に登録するものです。 オンライン辞書を同時に開き、訳語を調べることが出来ます。辞書は4つまで登録可能です。

  1. AnkiWeb にサインインした状態で、ブラウザ上で登録したい文字列を選択します。

  2. 右クリックから[Add to Anki:(選択した文字列)]を選択すると、AnkiWeb の編集画面が開きます。

AnkiFox
図 15. AnkiFox

なお、標準設定で Dictionary 2 に設定している WordReference.com の設定内容は次のように書き換えると英和辞典が機能します。

WordReference 英和設定例
http://www.wordreference.com/enja/%s

Weblio を使いたい場合は、次のように設定します。

Weblio 設定例
http://ejje.weblio.jp/content/%s

アドオンを使い続けるのに必要なこと

気に入って使い続けているアドオンがあれば、ぜひ AnkiWeb のダウンロードサイトでレイティングやコメントを付けてください。

ユーザーからの反応がアドオン作者が開発を継続する意欲に繋がります。 アドオンの開発作業には、性能の向上や機能の追加だけではなく、問題や障害の解決も含まれます。

ユーザーがアドオンをインストールした時には正常に動作し、その後アドオンに全く変更を加えなかったとしても、次の様な原因から障害が発生することが考えられます。

  • Anki 本体や同梱しているライブラリーを更新した時

  • 別の Anki アドオンを追加、更新した時

  • Anki を使っている PC のシステムを更新した時

アドオンの作者に直接的な原因はありませんが、正常動作のためにはアドオンの修正が必要になる場合があります。

作者に常に自分のアドオンの動作に関心を持ってもらうことが、ユーザーの継続利用にとって大切なことです。

一人の作者の複数のアドオンで同時に問題が発生した場合、評価の高いアドオンから修正作業を行う事例も見受けられました。

アドオンにフィードバックするには

AnkiWeb にサインインすると当該アドオンのページでレイティングやコメントをつけることができます。 レイティングを記録する場所は、アドオンの個別メージの右上にあります。☆ をクリックすると評価を保存します。

レイティングを付ける場所
図 16. レイティングを付ける場所

それでは、作者のやる気を引き出す評価基準を参考までにあげておきましょう。 日本人の標準的な感覚としては中間が基準と考えがちですが、Anki のアドオン開発者コミュニティを観察した所では満点の ☆☆☆☆☆ が基準点と考えるのがよいと思います。

☆☆☆☆☆

問題もなく継続使用している場合

☆☆☆☆

動作には支障ないが、修正が必要な問題がある場合

☆☆☆

以下は、アドオンが動作しない、Anki が起動できない、データが破損した場合

なお、AnkiWeb のアドオンページへのコメントに対してアドオン作者は直接返事ができません。 返事が必要な連絡には Anki サポートサイト (Add-ons カテゴリ)が利用できます。全てではありませんが、アドオンの作者と直接連絡を取ることができます。

まとめ

Anki の機能をもうすこし変えれば自分のやりたいことに一致するのにと思ったことはありませんか。 自分と同じことを考えている人が世の中にいて、共有のアドオンを公開してくれたりします。

Anki はアドオンの形でユーザーが機能拡張する機会を与えてくれています。 また、アドオンを作りやすい仕組みを持っています。Anki の使いやすさは、アドオンの質や量が向上することでさらに高められます。

自分もアドオンを作ってみようと思った方、Anki 2.0 アドオンの作成という作成ガイドの日本語訳がありますので参考にして作ってみてください。

アドオンの最新動向は、Ankigeneで紹介しています。

更新情報

2014/04/14: 初出

2014/04/26: 追加: Hierarchical Tags

2014/10/04: 更新: AwesomeTTS

2014/10/07: 追加: Power format pack

2015/02/08: 追加: Download audio 他3件

2015/10/31: 更新: Image Occlusion

2016/02/09: 追加: Zoom、Audio Playback Speed

2016/04/18: 更新: Image Occlusion、AwesomeTTS

2016/04/26: 更新: ウェブブラウザ機能拡張

2016/10/04: 更新: Image Occlusion

2016/12/10: 追加: Advanced Previewer