Anki 2.0.9では121件の変更、修正が行われました。数ある変更点の中には一般ユーザーがAnkiをもっと楽しく使える機能が含まれています。ブラウザーのプレビュー機能、カスタム学習のユーザーインターフェースの変更、解答キー入力機能の強化を中心に紹介します。

AnkiとはDamien Elmesが開発している分散学習システム(SRS; Spaced Repetition learning Systems)です。

はじめに

Anki 2.0.9が公開されました。このアップデートでは、多くの問題点が修正されました。 全てのユーザーがAnkiを快適に使える機能が追加されています。タイトルバーにプロファイル名を表示、ブラウザーのプレビュー機能、カスタム学習のユーザーインターフェース変更、解答キー入力機能の強化、起動オプションや削除したノートの記録などです。これらの機能について簡単に紹介したいと思います。 全ての変更内容をご覧になりたい方は、Anki2 の変更点をお読みください。

タイトルバーにプロファイル名を表示

タイトルバーの中に現在使用中のプロファイル名を表示するようになりました。何種類かのプロファイルを使い分けている人、共有PCで個人別にプロファイルを作っている人には非常に便利な機能強化だと思います。

個人的には、今回のアップデートで最高の機能強化だと思っています。

ブラウザー内でのプレビュー機能

ブラウザー内でノートを選択した状態で、ウインドウ上部の[プレビュー]ボタンを押すとカードのプレビューを見ることができます。ウィンドウ下の[<]、[>]ボタンを押すとブラウザー内のノートを順次めくってみることができます。

プレビュー画面
図 1. プレビュー画面

カスタム学習のユーザーインターフェースの変更

「特定のタグに限定する」と「カードを無作為に選んで学習する」は、一つのオプション「カードの状態やタグを選んで学習する」に統合しました。 カードの状態の選択を選択肢の中から選べるようになったので、今までより簡単にフィルター単語帳を作成できるようになりました。

カスタム学習設定画面
図 2. カスタム学習設定画面

解答キー入力機能の強化

解答キー入力(Type Answer)機能については下の動画を見てください。説明は英語ですが、音声は分からなくても見ているだけで内容は分かるものです。

この動画の内容は、今回の改善前の様子です。

どう変わったかというと、キー入力した解答と正解の比較が分かりやすくなりました。 穴埋め問題と組み合わせると、下の図のようなカードを作ることができます。

キー入力内容と正解の比較
図 3. 表面の解答キー入力画面

この例では、{{type:close:テキスト}} とテンプレートを設定して、「テキスト」フィールドの穴埋めを設定した内容を、解答キー入力機能でチェックしています。

入力内容と正解の比較
図 4. 裏面のキー入力した解答と正解の比較

このアップデートでは、等幅フォントで入力データと正解を上下に並べて比較するようにレイアウトが変更になりました。

アドオンのAwesomeTTSと組み合わせれば、ディクテーション用のカードも簡単に作れます。

更にカードウィンドウでのプレビュー機能が強化されました。

解答キー入力機能を設定したカードのプレビュー
図 5. 解答キー入力機能を設定したカードのプレビュー

なお、Anki2.0.9に基づいた解答キー入力機能の簡単な説明をAnki解答キー入力機能の使い方にご用意しました。関心のある方はお読みください。

サンプルのダウンロード

上の例で使ったカードテンプレートを含む単語帳 anki209.apkgをダウンロードしてお使いいただけます。

その他の注目すべき変更項目

  • アドオンの読み込みと自動的な同期を回避した起動

シフトキーを押したままAnkiを起動すると、アドオンの読み込みと自動的な同期を行わなくなりました。

  • 削除したノートの記録

ノートを削除すると、そのコンテンツはプロファイルフォルダー内のファイル deleted.txt に記録するようになりました。 フィールドの内容が記録されます。タグは記録されません。

  • 完全同期の設定場所の変更

メニュー([ツール]>[メンテナンス]>[完全同期])から環境設定([ネットワーク]タブ)に移動しました。

  • タイムボックス機能の変更

ツールチップの表示から、ダイアログ表示に変わりました。ダイアログの選択肢に解答するまで学習が一時中断します。

おわりに

今回のアップデートは主として問題点の修正が行われています。数ある変更点の中にも、通常のユーザーがAnkiをもっと快適に使える注目すべき機能が追加になりました。ぜひこの機能を活用して、Ankiを楽しく使ってください。