Anki 2.0.13が公開されました。このアップデートは、問題点の修正に加えて、新しい機能の追加が行われたAnki2.0.9以来の大規模なアップデートです。追加された機能は全てのユーザーがAnkiをもっと快適に、効率的に使うためのものです。 最も重要な変更点は、同じノートから作成した関連カード同士の間隔設定の処理は、新たに書き直されて生まれ変わったことです。 その他にも、更新した既存コンテンツを外部から再度読み込んだ場合の処理を改善し、 フィルター単語帳に期日超過が相対的に大きい順という新しい出題方法が追加し、 重複検索の結果をタグで記録できるようになりました。これらの機能について簡単に紹介したいと思います。 全ての変更内容をご覧になりたい方は、Anki2 の変更点をお読みください。

Anki 2.0.13で一番の変更点は関連カード同士の間隔設定についてです。 関連カードとは、複数のカードテンプレートを含むタイプで作成したカードのことです。

例えば、既定でインストールされるノートタイプ[基本(裏面カード付き)]でノートを作ると、一つのデータから表面向きのカードと裏面向きのカードの2枚ができます。この2枚のカードが連続して、あるいは短時間内に現れると簡単に答えが分かってしまうので、双方の出題時期に間隔を空ける機能をAnkiは持っています。

今回のアップデートでは、その処理の仕組みを作り直して、関連カードを持つカードを学習したら、学習セッションの学習キューや復習キューにそのカードの関連カードが含まれていれば、自動的に[延期]する処理に変更しました。

延長を解除したい場合は、単語帳の概要スクリーンの右下にある[延期を解除]ボタンを押します。

延期したカードがあれば延期を解除ボタンを表示
図 1. 延期したカードがあれば延期を解除ボタンを表示

なお、新規カードについては、関連カード同士をまとめて学習することもできます。 単語帳のオプション設定を開き、[新規カード]タブの[関連する新規カードを翌日まで延期する]の項目を解除します。

新規の関連カードの延期は単語帳オプションで設定
図 2. 新規の関連カードの延期は単語帳オプションで設定

外部ファイルの読み込みで既存コンテンツの更新

既存のノートを更新したノートを含むAnki単語帳パッケージ(apkg)ファイルを読み込んだ場合、使用ノートタイプが互換であればノートを更新するようになりました。

カードには変更を掛けず、ノートの内容だけを更新します。すでに始めている学習の進行に影響は及びません。 これによって、コンテンツ制作者は既存のコンテンツの更新ができるようになりました。

更新した既存テンプレートを読み込んだ場合の問題を解消

また、読み込みの際に、ノートタイプの表面か裏面のテンプレートに更新が掛かっていても、カードやノートの数、順番に変更がないなら、新規のノートタイプとして登録しないようにしました。

同じ名前のノートタイプが増えていく問題が解消されました。

この選択肢は、バックログをためた時に威力を発揮します。 復習間隔を基準とした相対的な期日超過を計算して大きいものから出題します。 簡単に説明すると 期日の超過/復習間隔 を計算して降順に並び替えています。

出題方法に期日超過が相対的に大きい順が追加
図 3. 出題方法に期日超過が相対的に大きい順が追加
  • 同じ日に復習期日に達したカードの場合、復習間隔の小さいもの(未熟なもの)から先に表示します。 1週間前に期日に達したカードは、復習間隔が1日の未熟なカードを復習間隔が30日の成熟なカードより先に表示します。

  • カードの復習間隔(成熟度)が同じカードの場合、復習期日に先に達した古いものから先に表示します。 復習間隔が1日に設定している再学習したカードは、一昨日期日に達したカードを昨日期日に達したカードより先に表示します。

復習の必要のある緊急度の高いものから並び替えている考えてよいでしょう。

ブラウザーの[重複を検索]機能で、重複した項目にタグを付けるオプションを追加しました。 フィールド項目の重複を検索した後、[重複にタグを付ける]ボタンを押すと、検索結果に目印としてタグ「重複」を付けることができるようになりました。

これまでは、検索結果のリンクを一つづつ開いて処理しなければなりませんでしたが、タグを付けることで重複した項目の一括処理がしやすくなりました。

重複項目に重複にタグを付けるボタンが追加
図 4. 重複項目に重複にタグを付けるボタンが追加

メニューの選択肢[未使用のメディア]の表示を[メディアをチェック]に戻しました。 これまでも、未使用のメディアに加えて、この機能でカードに使用しているのにメディアフォルダーに存在しないメディアを調査していたのですが、適切な名前に変わりました。

つまりこの機能は、カードのメディア指定の記述とメディアフォルダーの内容が一致しているか検査します。

メニューバーの変更箇所
図 5. メニューバーの変更箇所

前回の大規模なアップグレードAnki 2.0.9の後、多くのユーザーに関係する変更点がいくつかAnki 2.0.12で行われていますので参考までに紹介します。 Anki 2.0.9の変更点については、Anki2.0.9の注目すべき変更点で説明しています。

フィルター単語帳の統計情報

フィルター単語帳の統計情報を見ることができるようになりました。 カードの学習が済んでフィルター単語帳から元の単語帳に戻ると、当然情報は見えなくなります。

検索条件を設計してフィルター単語帳を作れば、通常の単語帳の統計情報では得られなかった詳細な情報を得ることができます。

検索条件の詳しい設定と、フィルター単語帳の作り方は、フィルター単語帳でAnki学習をカスタマイズしようで説明しています。

易しさの初期値の下限

易しさの初期値を130%以下に設定できないようにしました。 それ以下に設定すると、進歩が非常に困難だとの理由です。

参考情報: 2.0.12 Beta 2 (Jul 18)

LaTeXのincludegraphics命令

Anki 2.0 Beta13からセキュリティへの影響を考慮して、一部のLaTex命令が使えなくなりました。 Anki 2.0.12から再びincludegraphics命令が使えるようになりました。

参考情報: Image problems under LaTeX in Anki 2.0.11