連載: はじめてのLearning with Texts(LWT)

第3回目 Learning with Texts(LWT) Ankiへのデータ出力

はじめに

Learning with Texts(LWT)とは、テキストの読解を基本とした、パブリックドメインの語学学習の分散学習システムです。 基本的には自分で収集したテキストから自動生成する空欄補充問題を学習します。 オンライン辞書や辞書APIと連携していますので、簡単に語彙の定義や訳語を記録することができます。

テキストを多読しながら効率的に自動的に未知の語彙を収集し、分散学習する機能を提供してくれます。

前回の記事 はじめてのLearning with Texts(LWT) 基本的な使い方では、テキスト登録から学習語句の設定、復習方法を紹介しました。

今回は、LWTを使ってテキストから抽出したデータをAnkiに取り込む方法を紹介します。

この記事は、LWT 1.5.12 (July 16 2013)に基づいて作成しています。 作業環境は、Mac OS X です。他のプラットフォームをお使いの方は適宜読み替えてください。

データ出力の方法

ホームスクリーンからリンク[My Terms (Words and Expressions)]をクリックして、語句一覧を表示します。 ページ上部にドロップダウンメニューがある場合は[Terms]を選択しても移動できます。

まず出力用データを絞り込みます。

  • Language: でどの言語の語句を出力するか決めます。

  • Status: では、出力する語句のStatus(習熟度)を設定します。

付属Anki用テンプレートを使う場合

lwt/anki ディレクトリ内には、Anki読み込み用テンプレート LWT.apkg を収録しています。 このAnki単語帳 LWT.apkg には、ノートタイプ[LWT-Note-Type]が含まれています。

絞り込んだ全ての語句を出力する場合

ALL # Terms: (# は絞り込んだ語句の数) から[Export All Terms (Anki)] を選択します。

絞り込んだから語句をさらに選んで出力する場合

選択したい語句のMark列のチェックボックス選択して、Marked Terms: から [Export Marked Terms (Anki)] を選択します。

データは、ウェブブラウザーのダウンロードファイルの保存先に出力します。 ファイル名は、例えば2012/07/20 12:30:00 に出力した場合は lwt_anki_export_2013-07-20-12-30-00.txt となります。

出力データの内容は次の通りです。

Export Terms (Anki)の出力データ
families        家族 / (Plural form of family.)               The two chief <span style=“font-weight:600; color:#0000ff;”>[••••••••]</span> in Verona were the rich Capulets and the Montagues.       The two chief <span style=“font-weight:600; color:#0000ff;”>families</span> in Verona were the rich Capulets and the Montagues. English 221

Anki読み込みテンプレートLWT.apkg をAnkiに読み込ませた上で、出力データ(上の例では lwt_anki_export_2013-07-20-12-30-00.txt) を読み込ませます。

Anki読み込みオプションの設定内容 (Anki)

  • (ノートの)種類は[LWT-Note-Type]に設定します。

  • [フィールドに HTML に使う]を設定してください。出力データの内容にHTMLを含んでいるためです。

設定画面の例を参考までに掲載します。

Anki読み込み設定
図 1. Anki読み込み設定

この方法で読み込んだカードの表示例です。

付属テンプレートのカード
図 2. 付属テンプレートのカード表面
付属テンプレートのカード
図 3. 付属テンプレートのカード裏面

出力形式をカスタマイズする場合

My Languages(言語設定)の[Export Template]で、出力形式を指定できます。 言語設定ウィザードを使った場合、英語の既定設定は、$y\t$t\n です。 Anki2の穴埋めに対応した出力設定になっています。

出力テンプレートの詳細設定は、ドキュメントのLWT Export Templates for “Flexible Exports”をご覧ください。

出力データの作成手順は、付属テンプレートと使った場合と同じです。語句一覧から次の項目を選択して出力します。

  • ALL # Terms: (# は絞り込んだ語句の数) から[Export All Terms (Flexible)] を選択します。

  • 選択したい語句のMark列のチェックボックス選択して、Marked Terms: から [Export Marked Terms (Flexible)] を選択します。

ファイル名は、例えば2012/07/20 12:30:00 に出力した場合は lwt_flexible_export_2013-07-20-12-30-00.txt となります。

出力データの内容は次の通りです。

Export Terms (Flexible)の出力データ
The two chief {{c1::families::家族 / (Plural form of family.)}} in Verona were the rich Capulets and the Montagues.   家族 / (Plural form of family.)
Anki読み込みオプションの設定内容 (Flexible)

  • (ノートの)種類は[穴埋め]に設定します。

Anki読み込み設定
図 4. Anki読み込み設定

この方法で読み込んだカードの表示例です。

付属テンプレートのカード
図 5. カスタマイズしたテンプレートのカード表面

Ankiの穴埋め問題が機能しています。

付属テンプレートのカード
図 6. カスタマイズしたテンプレートのカード裏面

Ankiで使用中のノートタイプを共用することができました。 出力テンプレートをカスタマイズすれば、さらに柔軟なカードレイアウトを実現できます。

まとめ

LWTは、Ankiと連携して使用することを考慮して作られているため、標準のAnki用テンプレートや、出力形式のカスタマイズ機能を用意しています。

Ankiの既定状態では、既成の語彙表、単語帳による学習に偏りがちですが、LWTは多量のテキスト処理を得意としていますので、文脈を活用した学習をAnkiへ簡単に取り込むことできます。

LWTを組み合わせると、頻出基本語彙の学習が終了して多読にシフトした進んだ語学学習者にも、Ankiの分散学習の特長が活用できるようになります。