Anki を使い始めた人にとっては、既成の共有単語帳を使ってみても、自分に合うものがすぐに見つからないのではないかと思います。実は授業やレッスンなどの体験を元にすると、自分の能力と目的にかなったカードを効率的に作成できます。

おすすめ Anki 単語帳を求めて、このサイトを訪れる方がたくさんいます。 誰もがすすめる参考書問題集などが存在する以上、同じようにおすすめの既成の単語帳を探す気持ちは分からないでもないです。 ただ、理想の教材を求めることに時間を費やして、学習自体が始まらないのは、Anki を手にしながら機会損失してるようで惜しいです。 そこでこの問題に決着をつけるサポートが出来ないかと考えました。

Anki の利用目的が決まっていれば、最適な教材は自動的に決まります。

資格試験が目的なら、過去問や受験参考書が学習すべきコンテンツになります。 効率性を考えると、現在の自分の理解に見合ったカードが必要です。 その教材を元にした既成の単語帳がある場合でも、その中から取捨選択やカスタマイズが必要です。 記憶する必要のないものに時間や労力を掛けないようにします。

試験のような具体的な目標はないけど Anki を使ってみたい方は、教材を何にすべきか悩むのではないかと思います。

私からのおススメは、現在学んでいる体験と連動したカードを作ることです。

学校の教科書やノート、テストの答案用紙、習い事の稽古内容、業務日誌、料理のレシピ、ラジオ講座のテキスト、読書中の書籍などが教材として使えます。 その日、学んだ記憶が鮮明なうちに重要だと思う内容だけをカード化します。

毎日の学習活動と連携して Anki を使うことがポイントです。 例えば単語帳を元の教材として勉強する場合も、単語帳を読んで理解する作業と Anki で復習する作業を平行して行います。

出題形式を QA にするか穴埋めにするかは、使いやすさや特徴によって決めると良いでしょう。 穴埋め形式だと問題文を考える手間が省けます。QA 形式なら問題文を最適化して効果的な学習が図れます。

  1. 元の教材の学習を済ませておきます。
  2. その日の Anki の復習ノルマをこなします。
  3. 元の教材の中から最も重要な暗記したい単語や文だけを 10個 選び新規カードとして登録します。
  4. 時間がある時は元の教材を復習します。Anki 学習と間隔が空いてもよいです。

注意事項

毎日の手順を継続して実践する上で注意すべき項目をまとめました。

  • 復習ノルマがこなせない場合は新規カードは追加しない。
  • 新規カードは10個以下でもよいが、10個以上にしない。

10 枚というノルマがあまりに簡単ではないかと思うかもしれません。 単語の場合休まず継続すると 10 か月で 3000 語に達します。色々な資料がありここでは紹介しませんが、多くの言語で頻出 3000 語で、書き言葉や話し言葉の 90% がカバーできます。これで語彙習得が終わりという訳ではありませんが、新規学習に必要な基本語彙を 1 年以内に習得できるペースです。辞書を引かないと何も分からない状況から解放されます。

参考情報: そのボキャブラリーでどこまで理解できるのか?/英、仏、西、露、中、朝、日語の頻出順単語リストとカバー率

Anki の既定値はこの倍ペースですが、2 年で 15,000語です。 英語の場合は頻出 1.5 万語を知っていれば、話し言葉や書き言葉の使用語彙の未知の単語数は 2% 以下になります。 このレベルは、ペーパーバックの場合 2 行に一語未知の単語が出るレベルです。その場で辞書を引く必要はなくなるでしょう。 新しい言語を学ぶ時の非ネイティブとして必要な語彙量の目標に 2 年で到達できるペースです。

最初に一日 10 個で始めて Anki の使い方の要領が分かった上で、初期値の 20 に戻せば新規習得する言語の非ネイティブにとっての必要語彙を 2 年で覚えることが出来ます。

毎年一言語を新たに覚えるような酔狂な人たちは、更に倍のペースの一日 40 語で覚えているそうです。

Anki を使い始めた人にとっては、既成の共有単語帳を使ってみても、自分に合うものがすぐに見つからないのではないかと思います。 実は授業やレッスンなどの体験を元にすると、自分の能力と目的にかなったカードを効率的に作成できます。 まずは自家製の単語帳で Anki に慣れてみましょう。使っているうちに既成の単語帳の使い方やカスタマイズの方法が分かってくるはずです。

参考情報: iPhone ユーザーのための Anki のゆるい始めかた