途中放棄してしまった Anki を再開するにあたって、今までやってきた自分なりの方法に付け加えると役立つようなヒントを紹介します。

この記事は、Anki を途中放棄した人向けです。

  • はじめて Anki を使う人 は、はじめてのAnki まず使ってみるをお読みください。今、これから先に書いてあることを読んでも混乱の元になるのでお勧めしません。
  • すでに Anki を使いこなして順調な人 は、そのまま今上手く行っているやり方を続けてください。他人のやり方を気にするより、貴重なコストは本来やるべき学習に集中してください。

Anki を途中放棄したけど、もう一度挑戦してみようと思ったアナタは大変に筋がいい。

Anki の基本的な機能は、学習心理学の分散学習 (Spaced Repetition) に基づいています。 短期間に集中して繰り返すよりも、時間をあけて繰り返す方が効果があるという前提で動作しています。

この知識がないと、Anki から経験上の学習の直感に反する動作をしていると感じられると思います。

Anki を短期集中型の使い方をしようとすると、複雑で特別な設定や操作が必要となります。 アプリが提供する機能とユーザーの学習習慣が相矛盾することでストレスを招き。

余裕があれば、学習心理学の基本書の集中学習と分散学習の項目を読むといいでしょう。 それでも知識はあっても分散学習に慣れるのに時間は掛かると思います。

そんな今まで経験したことのない非日常的な作業なので、継続できなくて当然です。 Anki を使うのに途中で挫折したからといって、集中力や持続力に問題がある訳でもありません。

新しい習い事を始めた時のことを思い出してください。 初心者に必要なことだけを選んで手取り足取り教えてくれる先生はいないのです。

中断したことにも意味や意義はあるのです。 Anki の造りは中断することも想定内で、再開すればこれまでの学習実績が資産に変わるようになってます。

誤解を恐れずに言うと、Anki とはどれだけ長い間忘れずにいられるか挑戦するゲームです。

一週間前に見たカードを覚えていたら、今度は二週間空けても覚えていられるか挑戦するような仕組みになっています。 走り幅跳びや走り高跳びの競技の記録挑戦をイメージすると分かりやすいかもしれません。

実は、Anki のアルゴリズムはユーザーが挫折することを想定内として処理します。

20 日間中断の後、期日 10 日設定のあったカードを復習したら実は覚えていた場合、 事実はこのカードの内容を 30 日間記憶していたということです。

当初から間隔 30 日間であれば、復習間隔は 75 日ですが、 Anki は中断期間と実際の間隔を加味して次回の間隔を、36 日前後に設定します。

Anki はスケジュール通りに復習しても、不慮の原因で中断が発生しても、どれだけ時間をあけても記憶できたかという事実に基づいて処理してくれます。

学習放棄したままならその労力はムダですが、再開すれば資産に転化するような仕組みを持っています。

実は、Anki を使い始めてから順調だった訳ではなく、三か月以上の中断を 2 回繰り返しました。 つぎに紹介する私の一番古い単語帳の統計情報にその履歴が残っています。

2 回の中断を交えた利用履歴
図 1. 2 回の中断を交えた利用履歴

なぜやる気になったかというと、長い間休んだにもかかわらず、内容を鮮明に覚えていたカードがいくつもあったからです。 SRS の威力を実感したら楽しくなりやる気が沸いてきました。

ついでに、学校で習った単語帳なども読み返すと、当時なかなか覚えられなくて繰り返し覚えようとしているものも思い出すことができ、SRS の使い方のコツをその時理解しました。

暗記する項目の内容や目的によって、Anki の使い方は様々で、おそらく今までやってきた方法は、これまでの学習経験を踏まえた最適なものだと思います。 再開にあたって、その方法を生かしながら中断のリスクを下げる確認項目を紹介しましょう。

身近な目標とゴール

個々のカードのスケジュールは、Anki が管理してくれますが、教材毎の学習計画は別途立てることをお勧めします。 例えば、一冊の書籍の単語帳を学習するにしても、二週間ぐらいで終わる分量に分割して計画を立てます。レベル別、品詞別などの章立ての分類を活用しても良いでしょう。

次の二週間は何をどれだけやるのか決めます。 漠然としたゴールよりも身近な具体的なゴールの方が達成しやすいです。 また、計画の見直しが定期的に反復できるので、自分に適した使い方に洗練することができます。

教材の再評価

学校の指定教材、試験の過去問や問題集は、残念ながらもう避けられないのでやるしかないですね。 それ以外の場合、使っているその教材ってホントウに必要なんですか。 新しいことを始めようとすると、気持ちが先走っていきなり大層な目標を立てがちです。 評価の高い問題集や書籍をやりたい気持ちは理解します。

再開するにあたって、今までの学習履歴と自分の現状を踏まえて、使用教材が今の自分に適したものか、評価し直してみましょう。

暗記項目の実践利用

Anki で覚えた項目を並行して実際に使っていますか。 実践で使うから暗記した情報は使える知識になり、その経験が新たな Anki への動機付けになります。

例えば英単語を覚えるにしても、覚える目的によって、本、音声、動画を使った受け身の利用方法と、作文、スピーチなどの自発的な実践方法を選択しましょう。

Anki で覚えたものは、Anki から離れて使ってみることが Anki を使う目標達成のために必要なことです。

実践で使わないのであれば、記憶ゲームをやっているのと変わりません。

セッションの質

何か学びを始める時、気持ちは盛り上がっているので過剰に学んでしまうのは仕方のないことです。集中的に繰り返すことが最も効果があると信じていればなおさらのことです。

いままでの Anki の学習の質ってどうだったでしょうか。丁寧に復習できていましたか。

もし、学習セッションの質について不安があるようでしたら、長続きする Anki 単語帳の作り方をご覧下さい。参考になるヒントが見つかるのではないかと思います。

長い間中断したのでバックログが大量発生するのは当然です。

過去の中断の経験から復活の方法をためた Anki 復習カードをスライスして消化にまとめています。 やり方は他にも色々あるかと思いますが、キモは自分にとって毎日続けられる最適な分量から再開して、余ったものは別に仕舞っておくという考え方です。

まず、自分にとって無理のないペースを見つけることが重要です。

暗記って失敗して上等の世界なんですよ。 つまずいたら、また再開すれば良いのです。中断と再開を繰り返せばよいです。 そしてだんだん連続して継続できる期間が長くなり、苦にならなくなるでしょう。 それはあたかも、自転車に初めて乗れた日のようにです。