ためた Anki 復習カードをスライスして消化
2016-04-27 更新期日に達した復習カードを安定的に解消する Anki バックログ解消法の改良版を紹介します。学習履歴の統計から求めた最適なセッションに合わせて、全てのバックログを分割する方法です。
はじめに
復習カードのバックログを抱えたときに一番注意すべきことは、慌てて一気に解消しないことです。 一気にバックログの解消を図ると、量の多さから復習セッション途中で断念したり、 新たに復習の鋭いピーク作り出して再びバックログを抱えるような危険性が生じます。
そこで、安定的に復習カードを解消する方法を、以前Anki統計情報を活用したバックログ解消法で解説しました。 この記事では、統計情報を利用しながら新たに期日に達する復習カードと、その日復習するカードのバランスを取りながら、解消していく方法を紹介しました。 この方法は Anki を使い始めたばかりの方を対象としたものです。
今回は既に Anki を使い込んでいる方を対象として、学習履歴データの蓄積を活用する改良法です。 学習履歴の統計から最適なセッション時間を割り出して、全てのバックログを最適な大きさに分割する方法です。 例えて言うなら、一口サイズにバックログを切り分けるということです。
最適な学習セッション
無理なく集中して Anki で復習できる一回のセッション時間を自覚できていますか。 十分な学習履歴があれば、統計情報を手がかりに調べることができます。 統計情報の学習日の平均は、その単語帳を復習するのにかかった時間です。
私が使っている熟知80%の比較的楽に復習している単語帳の一例です。学習日の平均が 12 分掛けています。 一分当たり約 9 枚復習していますので、一回のセッションは、平均 12 分で 100 枚復習していることが分かりました。
使用中の単語帳のうち、飽きたりせずにいつも毎日の復習が完了できる単語帳の統計情報を見てください。 自分にとって最適なセッション時間と処理枚数が決まるはずです。
バックログ解消の方針
バックログ解消までの一時的に次のような手順で学習します。
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昨日までのバックログ全てを隔離して分割します。
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今後は残りのカードを通常通り復習します。バックログが消えただけあって楽に消化できるはずです。
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隔離したバックログは、通常の学習が終わった後、余裕があるときに徐々に取り組みます。
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新規カードの追加はバックログがなくなるまで取りやめます。
バックログの隔離手順
バックログの隔離にフィルター単語帳を使います。 次のように設定します。
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検索条件
deck:"Default" prop:due<0
を指定します。単語帳名と昨日までに期日に達したカードです。 -
取得する [最大枚数] は、先に計算した最適なセッションの枚数です。私の場合は 100 です。
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[この単語帳の解答に基づいてスケジュールし直す] は必ず有効にしてください。
注意: [出題方法] は、間隔が大きい順にしています。理由は、正解した場合に次回の復習を先延ばしにできるからです。 Anki は、前回の学習日との間隔から次の学習日を設定します。どのような事情でも間隔が空いても正解できたというのは Anki のアルゴリズム的には良いことです。カードの履歴を初期化するとこの利点を捨てることになります。
この条件でフィルター単語帳がカードを取得できなくなるまで、繰り返し作成します。 私の場合はバックログが 800 枚ありましたので、フィルター単語帳 (隔離単語帳) を 8 個つくりました。
バックログ隔離後の毎日の学習
残った本来の単語帳の復習に注力します。再び Anki を毎日学習することに慣れましょう。 毎日の学習ルーチンが確立したところで、余裕ができたら隔離単語帳に手を付けます。 明日明後日が隔離単語帳を手がけるタイミングではないでしょう。
隔離単語帳の使い方
通常の単語帳の学習が終わって、余裕がある場合だけ一日一つ学習します。
普通の単語帳と同じように使います。最適なセッションになるよう分割したので、一度で確実に終了できると思います。 この単語帳を学習すると、それぞれのカードは次回の復習期日を設定した上で、元の単語帳に戻ります。 一回セッションを終了すると空になります。使用済みなので削除して構いません。
隔離用フィルター単語帳すべてを復習したところでバックログは解消です。
隔離単語帳の注意点
この隔離単語帳を復習する毎に元の単語帳の復習枚数に加算されます。 毎日隔離単語帳を復習すると、復習カードが積み上ってサイドバックログが発生する危険が生じます。 例えば、100 枚のカードを復習して正解率 30% なら、翌日の復習カードに 70 枚加算です。
元の単語帳の通常学習の消化状況も考慮しながら、少しづつ使うと確実に処理できると思います。
AnkiMobile ノート
Anki の iOS 版アプリ AnkiMobile Flashcards を使っている場合も同じように設定できます。
統計情報
学習日の平均時間は、統計画面 [Review Time] 項目の [Average for days studies] で調べることができます。
フィルター単語帳の設定
AnkiMobile のフィルター単語帳の場合は、オプション [Reschedule cards based on my answers in this deck?] を有効にします。
おわりに
Anki の使用経験が長ければ統計情報を利用して、自分の最適が学習条件を求めることができます。 仮に何らかの障害で一時期学習が続けられなくなって、バックログがたまると全ての履歴を初期化したくなるかもしれません。 実は、過去の履歴を活用することで元の学習状態にいち早く復帰できるのです。
更新情報
2014/09/07: 初出
2016/04/27: 追加 AnkiMobile 2.0.21 対応